海外のサーバーや配信プラットフォームを使っていても、それだけで日本の届出対象から外れるわけではありません。日本国内で映像送信型性風俗特殊営業を営むのであれば、サーバーの所在地を問わず、届出の要否を確認する必要があります。確認の軸は「サービスが海外か」ではなく、誰が、どこを事務所として、どのURLで、どのような映像を有料で見せる営業を行うかです。
この記事を要約すると
- 海外サーバーを使うことだけを理由に、日本の風営法上の届出が不要になるわけではありません。
- 届出では公開URL等に加え、サーバー等の自動公衆送信装置を設置する事業者の名称・住所を確認します。
- 海外サービスは契約画面や運営会社情報が日本語でないこともあるため、営業開始前の資料整理が大切です。
この記事をおすすめしたい方
- OnlyFansなど海外の会員制プラットフォームで有料配信を始める方
- 海外のレンタルサーバーやCDNを利用して配信サイトを運営する方
- 国内サービスから海外サービスへ移転し、URLや契約先が変わる方
結論:海外利用でも「日本で誰が営業するか」を確認する

e-Gov法令検索の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第31条の7は、映像送信型性風俗特殊営業を営もうとする者に対し、事務所所在地を管轄する公安委員会への届出を求めています。届出事項には、事務所、映像伝達用設備を識別する記号、サーバー等の設置者に関する情報が含まれます。
さらに、警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」は、届出対象を日本で営業を営んでいる者とし、映像が保存されている自動公衆送信装置の所在地を問わないと説明しています。外国の装置設置者を利用する場合は、その名称と住所を届出書に記載する考え方も示されています。
したがって、「海外企業のサービスだから日本の手続は関係ない」「サーバーが国外にあるから届出できない」という整理は適切ではありません。一方、海外サービスを利用した配信がすべて届出対象になるわけでもありません。配信内容、有料性、営業の実態を風営法第2条第8項の定義に照らして個別に確認します。
海外サーバー利用時に整理する7項目

届出の検討を始めるときは、アカウント名だけでなく、次の情報を一枚にまとめます。
| 確認項目 | 整理する内容 |
|---|---|
| 営業主体 | 個人名または法人名、住所、法人の場合は代表者 |
| 事務所 | 配信や顧客管理、企画等を継続して行う本拠 |
| 公開URL | プロフィール、販売ページ、会員ページなど客が接続するURL |
| 配信内容 | 静止画・動画・ライブ配信の内容、無料部分と有料部分 |
| 課金方法 | 月額、単品、投げ銭、個別メッセージ等 |
| プラットフォーム | 正式な運営会社名、所在地、利用規約、契約画面 |
| サーバー関係 | 自社サーバーか外部サービスか、設置者・契約先の情報 |
国名だけを調べても、届出書は完成しません。「プラットフォームのブランド名」「契約相手の法人名」「実際に客が接続するURL」を分けて記録するのが実務上のポイントです。
海外プラットフォームでは誰が届出人になるのか
警察庁の解釈運用基準は、届出義務を負うのは実質的に営業を営む者であり、単にホームページ開設サービスを提供する者や、料金回収だけを代行する事業者は一般に営業主体ではないと説明しています。
たとえば、配信者自身が内容、価格、公開範囲、更新時期を決めて収益を得ている場合、プラットフォームが決済や配信基盤を提供しているからといって、プラットフォーム側が配信者の届出まで代行したことにはなりません。反対に、契約関係や運営権限が複雑な場合は、表示名だけで届出主体を決めず、利用規約と実態を確認します。
同じ考え方は国内サービスでも共通です。サービス名から要否を決めず、MyFans・Fantiaなどの配信に届出は必要?確認すべき5つのポイントもあわせて確認してください。
URLとサーバー情報はどう確認するか

神奈川県警察の映像送信型性風俗特殊営業営業開始届出書では、「映像伝達用設備を識別するための電話番号等」を記載します。様式第31号の備考は、この欄に映像の伝達に用いる電話番号、URL等を記載するとしています。
海外プラットフォームでは、ログイン後の会員ページURL、公開プロフィールURL、商品ごとのURLが別々になることがあります。短縮URLやSNSの告知リンクだけでなく、客が有料映像へ接続する経路を画面遷移に沿って確認してください。
サーバー設置者については、サービスのフッター、利用規約、プライバシーポリシー、請求書、契約確認メールなどから正式名称と住所を探します。英語表記しかない場合は、原文を保存し、届出書での表記方法を管轄警察署に事前確認すると安全です。運営会社と決済会社、サーバー会社が異なる場合もあります。
営業開始前の手順
- 配信内容と課金方法から、映像送信型性風俗特殊営業への該当性を整理する
- 営業主体と日本国内の事務所を確定する
- 客が接続するURLを、無料部分と有料部分に分けて一覧化する
- 海外運営会社・サーバー設置者の正式名称と住所を確認する
- 管轄警察署へ、海外事業者の表記や添付資料を事前確認する
- 最新様式と必要書類をそろえ、開始予定日から逆算して提出する
風営法施行規則第58条では、営業開始届出書を営業開始予定日の10日前までに提出すると定めています。先にアカウントを有料公開し、後から資料を探す順序は避け、公開予定日から逆算してください。受付日や添付書類などの提出実務は、管轄警察署の案内に従います。
必要書類の全体像は、映像送信型性風俗特殊営業の届出に必要な書類で確認できます。
よくある見落とし
- 海外サービスへの本人確認が済んだことを、風営法上の届出も済んだ意味だと考える
- SNSのプロフィールURLだけを控え、有料ページのURLを整理していない
- ブランド名のみを記録し、契約相手の法人名・住所を確認していない
- 個人アカウントから法人アカウントへ変えたのに、営業主体の変更を確認していない
- 国内サービスから海外サービスへの移転を、単なる設定変更として処理する
海外サービスでは、仕様変更やURL変更が利用者への予告なく行われることもあります。届出後も契約画面と公開URLを定期的に見直し、変更があったときは変更届等の要否を確認します。
公開前の最終点検には、映像送信型性風俗特殊営業の届出前に確認する10項目もご利用ください。
まとめ
海外サーバー・海外プラットフォームの利用は、届出を不要にする条件ではありません。日本で営業する主体、事務所、配信内容、課金方法、URL、サーバー設置者を順番に整理することが出発点です。
海外事業者の名称・住所やURL構造が分かりにくい案件ほど、有料公開前に管轄警察署または行政書士へ確認してください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 海外サーバーなら日本の届出は不要ですか?
いいえ。警察庁の解釈運用基準は、日本で営業を営む者について、映像が保存されるサーバー等の所在地を問わないとしています。配信内容や有料性などを含めて個別に判断します。
Q2. 海外プラットフォームが決済する場合、運営会社が届出をしますか?
決済代行だけで営業主体になるとは限りません。誰が内容、価格、公開範囲等を決め、実質的に営業を営んでいるかを確認します。プラットフォームの本人確認と日本の届出は別の手続です。
Q3. URLはプロフィールページだけで足りますか?
客が映像へ接続する際に用いるURL等が届出事項です。プロフィール、会員ページ、商品ページの関係を整理し、どのURLを記載するか管轄警察署へ確認してください。
Q4. 海外会社の住所が分からない場合はどうしますか?
利用規約、会社情報、請求書、契約メール等を確認し、原文を保存します。推測で記載せず、資料を示して管轄警察署へ表記方法を相談します。
Q5. 国内サービスから海外サービスへ移るときは変更届だけでよいですか?
一律には決められません。旧URLを残すか、新しい営業として扱うか、営業主体や事務所も変わるかで整理が異なります。移転前に旧・新の情報を並べて確認してください。
ご相談について

海外サービスの届出は、翻訳より前に「誰が営業主体か」「どのURLが営業単位か」を整理することが大切です。あいりん行政書士事務所では、配信内容、事務所、URL、契約先資料を確認し、届出準備の進め方をご案内します。初回相談の無料対象・時間・相談方法は、公開中の相談案内で最新条件をご確認ください。相談時点で受理や営業可否を保証するものではありません。
監修者紹介(監修確認待ち)
監修:行政書士 梅澤徹
あいりん行政書士事務所代表。神奈川県行政書士会所属、登録第15090451号。映像送信型性風俗特殊営業の届出について、営業内容・事務所・公開URL・サーバー情報などの確認を踏まえ、本稿の構成と表現を監修しています。個別案件の該当性や提出先の運用は、管轄警察署への確認が必要です。