レンタルオフィスやバーチャルオフィスという名称だけで、映像送信型性風俗特殊営業の届出可否は決まりません。重要なのは、その場所が営業の本拠となる事務所として実際に使われ、届出者が使用できる権原を公的手続で説明できるかです。

住所利用と郵便転送だけのプラン、共用席を時間利用するプラン、専用個室を借りるプランでは事情が異なります。契約後に「届出には使えない」と分かる手戻りを避けるため、契約書案、使用承諾の可否、利用実態を示して管轄警察署へ事前確認してください。

この記事を要約すると

  • オフィスの呼び名ではなく、営業の本拠としての利用実態と使用権原を確認する
  • 賃貸借契約書、使用承諾書、建物の登記事項証明書等を用意できるかを見る
  • 住所だけを借りる契約は、契約前に管轄警察署と運営会社へ具体的に確認する

この記事をおすすめしたい方

  • 自宅住所を公開せず、別の事務所を用意したい方
  • レンタルオフィスの専用個室を検討している方
  • バーチャルオフィスの住所で届出できるか知りたい方

法令上の起点は「営業の本拠となる事務所」

バーチャルオフィスの届出可否を行政書士へ相談する場面

e-Gov法令検索の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第31条の7は、映像送信型性風俗特殊営業を営もうとする者に、事務所所在地を管轄する公安委員会への届出を求め、事務所所在地を届出事項としています。

一方、法令の条文は「レンタルオフィスなら可」「バーチャルオフィスなら不可」というサービス名称による一律の線引きを示していません。したがって、広告上の名称だけで結論を出すのは適切ではありません。

警察庁の解釈運用基準(令和8年7月1日)第18の4(3)が参照する第18の3(2)は、事務所を営業活動の中心となる場所として捉え、事務所と呼べる場所がない場合は営業者の住所を基準にする考え方を示しています。郵便受取住所と、顧客管理・契約・サイト運営などを実際に管理する場所が異なる場合は、その関係を資料で説明できることが重要です。

確認すべきなのは、住所貸しサービスの名称ではなく、そこで営業活動を管理できるのか、届出者が継続的に使用できるのか、使用を認める資料があるのかです。

公的案内が求めている「使用権原」の資料

警視庁の性風俗関連特殊営業の届出案内は、映像送信型性風俗特殊営業の必要書類として、事務所の使用について権原を有することを疎明する書類を挙げ、使用承諾書、賃貸契約書の写し、建物に係る登記事項証明書などを例示しています。

神奈川県警察の届出案内も、営業の本拠となる事務所について、賃貸借契約書または使用承諾書、建物に係る登記事項証明書等を案内しています。

これらは提出実務の公式例です。実際には、次の点を管轄警察署へ確認します。

  • 契約書の契約者が届出者本人または届出法人と一致しているか
  • 契約対象の住所、建物名、階、号室が特定されているか
  • 貸主または権限のある管理者が対象業務での使用を承諾するか
  • 転貸の場合、承諾関係や使用権原をどの資料で示すか
  • 建物の登記事項証明書と契約対象が対応しているか

オフィス形態別の確認ポイント

形態 確認の中心 契約前に聞くこと
専用個室型レンタルオフィス 専有場所、継続利用、契約名義 対象業務の使用承諾書を出せるか
固定席型シェアオフィス 席・住所の特定、管理実態 事務所所在地をどう証明するか
フリーアドレス型 営業の本拠としての実態 継続利用と書類保管を説明できるか
住所+郵便転送型 実際の業務場所との関係 住所利用だけで事務所と説明できるか
会議室のみ時間利用 日常的な営業管理の場所 営業の本拠が別にないか
自宅+外部住所利用 届出上の事務所と実態の一致 実際の業務場所をどこにするか

この表は可否を示すものではありません。専用個室があっても契約上の用途が認められなければ問題が残り、住所利用だけでも個別事情を確認せず直ちに不可とは断定できません。

オフィスの利用実態と契約書・使用承諾書を確認する場面

契約前に運営会社へ確認する7つの質問

  1. 映像送信型性風俗特殊営業の事務所として利用できるか
  2. 公安委員会への届出に住所を使用できるか
  3. 使用承諾書を発行できるか、指定書式へ記名できるか
  4. 契約者を個人または法人のどちらにできるか
  5. 建物に係る登記事項証明書を取得・提出できるか
  6. 郵便受取、書類保管、来訪対応などの利用範囲は何か
  7. 退去・プラン変更時の住所利用終了日はいつか

口頭で「登記可能」と言われても、公安委員会への届出利用まで含むとは限りません。質問内容と回答をメール等で残し、契約書・利用規約・承諾書案の表現を確認します。

管轄警察署へ見せたい資料

物件名だけを伝えるより、次の資料をまとめて相談した方が具体的な確認ができます。

  • 契約書案と利用規約
  • 使用承諾書の案または発行条件
  • 住所、建物名、階、号室が分かる資料
  • 専用個室・固定席・共用部の利用範囲
  • 郵便、電話、書類保管、PC作業を行う場所の説明
  • 営業者、公開URL、サーバー契約者の一覧
  • 実際に営業管理を行う曜日・方法の説明

図面が常に法定添付書類になると断定することはできませんが、専用範囲と共用範囲を説明する簡単な配置図があると、相談時の認識合わせに役立つことがあります。提出の要否は管轄警察署へ確認してください。

自宅住所を出したくない場合に考えること

自宅住所の公開を避けたいという希望は自然ですが、ウェブ上の表示住所と警察への届出事項は別々の法令・目的で確認する必要があります。住所を借りればすべて解決するとは限りません。

まず、実際に営業を管理する場所を決めます。そのうえで、届出上の事務所、契約名義、ウェブ表示、郵便受取、プライバシー保護を一つずつ整理してください。自宅と外部オフィスのどちらが営業の本拠なのか曖昧なまま進めないことが大切です。

移転を伴う場合は事務所移転と変更届の確認手順を、警察署へ見せる資料や質問の作り方は届出前の警察署相談チェックリストも参考にしてください。

契約後に気付くと困る4つの点

  • 使用承諾書が発行されない
  • 届出対象業務が利用規約で禁止されている
  • 届出者とオフィス契約者の名義が違う
  • プラン変更・退去で住所利用が突然終わる

「法人登記できる」「郵便を受け取れる」という説明だけで、映像送信型性風俗特殊営業の事務所として届出できるとは限りません。営業内容を伏せたまま契約すると、承諾書の段階で止まるおそれがあります。

まとめ

レンタルオフィス・バーチャルオフィスでの届出は、サービス名による○×では判断できません。営業の本拠としての利用実態、契約名義、使用権原、貸主等の承諾、所在地の特定を資料で説明できるかが中心です。

契約候補が決まったら、契約書案と利用規約を持って、運営会社と管轄警察署の双方へ確認してください。契約後より、契約前の方が条件を調整しやすく、別物件を選ぶ判断もできます。

よくある質問

Q1. バーチャルオフィスは一律に届出不可ですか?

いいえ、バーチャルオフィスという名称だけで一律に届出不可とは決まりません。営業活動の中心となる場所、継続利用の実態、使用権原の資料、郵便受取住所と実際の管理場所の関係を示し、管轄警察署へ個別確認してください。

Q2. 専用個室のレンタルオフィスなら必ず届出できますか?

必ずとは言えません。専用個室があっても、契約用途、届出者との名義一致、使用承諾、建物資料などを確認する必要があります。

Q3. 法人登記できる住所なら届出にも使えますか?

法人登記の可否と、映像送信型性風俗特殊営業の事務所としての届出は同じ判断ではありません。対象業務での使用承諾と営業実態を別に確認します。

Q4. 使用承諾書は誰に書いてもらいますか?

所有者、賃貸人、管理会社、転貸人など契約関係によって異なります。誰が承諾権限を持つか、管轄警察署がどの資料を求めるかを契約前に確認してください。

Q5. 自宅で実務をして、バーチャルオフィスだけ届け出られますか?

バーチャルオフィスだけを事務所として届け出られるとは一律に判断できません。自宅が実際の営業活動の中心で、外部住所は郵便受取だけという場合は両者の不一致が問題になるため、それぞれで行う業務を具体的に整理し、管轄警察署へ確認してください。

相談案内

候補オフィスの契約前に届出資料を行政書士と確認する場面

候補物件の契約書案、利用規約、使用承諾書の発行条件、実際に行う業務を整理すると、届出に使える事務所か確認しやすくなります。あいりん行政書士事務所では、これらの資料を踏まえた届出準備について相談できます。無料相談の対象・時間・回数、相談方法は申込み前に最新の案内をご確認ください。受理や営業可否を保証するものではありません。

CTA文言候補:候補オフィスで届出できるか相談する

監修者紹介

監修:行政書士 梅澤徹
あいりん行政書士事務所代表。神奈川県行政書士会所属、登録第15090451号。映像送信型性風俗特殊営業の届出について、営業内容・事務所・公開URL・サーバー情報などの確認を踏まえ、本稿の構成と表現を監修します。個別案件の該当性や提出先の運用は、管轄警察署への確認が必要です。
※公開前に最終稿の実監修と登録情報の再照合が必要です。